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Unit 01-C: 都道府県ごとの国民健康保険モデル給付額の算出

アジア成長研究所所長 八田 達夫 

序文

 本稿では、日本における高齢者への社会保険のための財政支出に関して、国と地方自治体の間で、どのような役割分担を行う制度改革をすべきかを分析する。特に、国が自治体ごとの住民の属性に応じて財源負担すべき「モデル給付額」を算定する。
 日本の現在の制度の下では、高齢住民は、住んでいる自治体に医療や介護などの高齢化対策費に関して多くの財政支出を余儀なくさせるが、税収はあまりもたらさない。高齢住民は、平均すれば、自治体財政にとって差し引き赤字をもたら...

Unit 01 キックオフペーパー: 地方創生と医療・介護の自治体負担

学習院大学経済学部経済学科教授 鈴木 亘 

 東京一極集中を是正し、「自治体の消滅可能性」が指摘される地方の人口減少に歯止めをかけようという「地方創生策」が、安倍政権の新たな経済政策としてスタートした。現在、地方自治体への新たな交付金創設、東京から地方に本社機能を移転した企業への税優遇、政府機関の地方移転等が検討・着手されつつあるが、それらの中で最も効果的、かつ現実的な対策が地方への「高齢者の移住促進」である。

 すなわち、現在、都市部に住んでいる高齢者に、まだ元気なうちに地方に移...

Unit 01-B: 医療、介護と地方財政

東京大学大学院経済学研究科教授 林 正義 

(本稿は、Hayashi(2015)“Health Care, Long-term Care, and Local Public Finances”をNIRAの文責で翻訳したものです)

1.はじめに

 日本の医療・介護制度においては、国がその制度設計を行っているものの、それ以外の面では地方が極めて重要な役割を果たしている。特に市町村は、国民健康保険制度(以下「市町村国保」もしくは「国保」と略)と介護保険制度を運営しており、それらの総予算...

Unit 01-A: リスク構造調整による新しい制度設計

東京大学大学院経済学研究科教授 岩本 康志 

 日本の現役世代のための公的医療保険は、大企業労働者のための組合健康保険、中小企業労働者のための協会けんぽ、公務員のための共済組合、自営業者・無職者のための国民健康保険に分かれている。それぞれの財政は基本的には独立しているため、被保険者の所得水準の違いによって、財政状況に格差が生じている。組合健康保険、共済組合の財政状態は比較的安定しているが、協会けんぽは組合健保よりも厳しい状態にある。国民健康保険の財政状況はさらに厳しい。
 公的健康保...